積水化成品工業株式会社は、積水化学工業グループに属する発泡樹脂・機能性樹脂のメーカーです。発泡スチロール(EPS)関連製品では国内トップクラスのシェアを持つ一方、独自のポリマー微粒子「テクポリマー」でエレクトロニクスや化粧品分野にも展開する「二刀流」の企業です。2025年3月期は売上高が増加したにもかかわらず営業利益・経常利益が大幅に落ち込むという珍しい決算となり、2025年1月にはグループ会社の再編も実施されました。本記事では最新の決算データと事業構造の変化を踏まえ、転職希望者が押さえるべき情報を解説します。


企業概要

  • 会社名:積水化成品工業株式会社(Sekisui Kasei Co., Ltd.)

  • 設立:1959年

  • 本社所在地:大阪市北区西天満(登記上の本店は奈良市)

  • 従業員数:単体446人/連結3,294人(2025年3月末時点)

  • 売上高:1,370億72百万円(2025年3月期、前期比5.2%増)

  • 営業利益:6億41百万円(前期比49.2%減)

  • 平均年収:約702万円(平均年齢45.4歳、平均勤続年数19.2年)

  • 海外売上高比率:43.2%(592億60百万円)


【重要】増収なのに大幅減益。2025年3月期決算の実態

積水化成品工業の2025年3月期は、売上高こそ前期比5.2%増の1,370億円台となりましたが、営業利益は6億41百万円(前期比49.2%減)、経常利益は1億2百万円(同96.2%減)と、利益面では大幅な落ち込みとなりました。要因として、グローバルな労務費の高騰、原料価格や為替変動の影響が挙げられており、「増収なのにほぼ利益が消える」という厳しい決算でした。

ただし、この状況は足元で改善に向かっています。2026年3月期第2四半期(中間期)の決算説明では、価格是正や原価低減・固定費削減などの収益改善施策により、営業利益が前年同期・計画をともに上回る水準まで回復したことが示されています。同社は中期経営計画「Going Beyond 2027」の中で収益力向上を掲げており、転職を検討する際は、こうした業績の谷から回復に向かう局面にあることを踏まえておくとよいでしょう。面接では「直近の収益改善施策が自分の志望部署にどう影響しているか」を確認することをおすすめします。


主な事業分野と製品

1. 生活・産業資材(発泡スチロール関連)

  • 発泡スチロール容器(食品用トレー、鮮魚・青果保冷ボックス)

  • 断熱材・緩衝材

  • 家電製品用緩衝部材

2. 自動車関連

  • 軽量発泡部品(衝撃吸収材、断熱材)

  • 車内防音材

3. 医療・ヘルスケア分野

  • 医療機器部材

  • 衛生資材用高機能プラスチック

4. 高機能材料(機能性ポリマー事業)

  • 導電性・帯電防止樹脂

  • 高耐熱・高強度の発泡材


【独自トピック】もう一つの主力「テクポリマー」とは

積水化成品工業を発泡スチロールのメーカーとしてのみ捉えると、同社の強みを見誤ります。同社は独自の重合技術によるポリマー微粒子「テクポリマー」を、液晶ディスプレイの光拡散材料、化粧品用添加剤、塗料のつや消し剤、さらにはポリイミド中空微粒子のような先端材料まで幅広く展開しています。粒子径の精密なコントロールや構造制御技術を核に、電子材料や医療・健康分野といった高付加価値領域で存在感を持つのが特徴です。

会社が掲げる長期方針「Target 2030」でも、モビリティ・エレクトロニクス・医療健康を含む「インダストリー分野」と、食・住環境エネルギーを含む「ヒューマンライフ分野」を成長領域と位置付けており、2030年度に環境貢献製品の売上高比率50%以上を目指すとしています。発泡樹脂の「量」のビジネスと、テクポリマーのような「機能性材料」の両輪で稼ぐ構造を理解しておくと、志望する事業部門とのミスマッチを防げます。


グループ会社再編(2025年1月)と転職への影響

同社は2024年11月、国内グループ会社である株式会社積水化成品東北(宮城県仙台市)を発展的に解消することを発表し、2025年1月1日付で本社機能・販売機能を株式会社積水化成品東部(茨城県猿島郡)へ、八戸工場の発泡ポリスチレンシートカット事業を株式会社積水化成品北海道(北海道千歳市)へそれぞれ移管しました。収益力向上に向けたグループ内の効率化の一環です。

積水化成品グループは各地域に「積水化成品〇〇」という名称の製造・販売子会社を多数抱える体制をとっており、今回のように統廃合が今後も起こりうる点は留意が必要です。東北エリアでの就業を希望する場合、求人サイトの表記が旧社名のままになっていないか、実際の採用主体(積水化成品東部・北海道のどちらか)を応募前に確認することをおすすめします。


働きやすさに関するデータ

  • 平均残業時間:月19.0時間程度(求人情報ベース)

  • 有給休暇取得率:45.4%前後(OpenWorkのクチコミベースでは57.2%とする声もあり、部署差が大きいとみられる)

  • 平均勤続年数:19.2年と長く、定着率の高さがうかがえる

OpenWorkの社員クチコミでは「メーカーとしては比較的働きやすい」という声がある一方、「以前はのんびりしていたが、近年は業績・トップ方針の変化で働き方が変わってきた」「若手の離職が増えている」という指摘も見られます。平均勤続年数の長さが示すベテラン層の安定感と、直近の業績変動に伴う職場環境の変化が同居している状況といえ、配属部署や上司との相性を面接段階で見極めることが重要です。


積水化成品工業の強み

  1. 発泡樹脂とテクポリマーの二本柱:汎用の発泡スチロール製品と、高付加価値な機能性微粒子の両方で収益源を持つ

  2. 幅広い市場への供給:食品、家電、自動車、建築、医療、電子材料など多岐にわたる産業分野で採用

  3. 環境対応製品の開発:リサイクル可能な発泡樹脂や低環境負荷素材への取り組み、2030年度に環境貢献製品比率50%以上を目標に設定

  4. グローバル展開:中国、タイ、マレーシア、米国など海外に生産・販売拠点を持ち、海外売上高比率は4割を超える

国内外の主要拠点

国内(積水化成品グループ)

  • 本社:大阪市北区西天満(登記上の本店は奈良市)
  • 積水化成品東部(茨城県猿島郡境町):2025年1月より積水化成品東北の本社・販売機能を承継
  • 積水化成品北海道(北海道千歳市):発泡ポリスチレンシートカット事業を含む北海道地区の生産拠点
  • 積水化成品群馬(群馬県邑楽郡大泉町)積水化成品埼玉(埼玉県蓮田市):関東地区の生産拠点
  • 積水化成品中部(名古屋市中区)積水化成品近江・滋賀(滋賀県甲賀市):中部・関西地区の生産拠点

海外

  • THAI SEKISUI FOAM CO., LTD.(タイ):東南アジア向けの発泡樹脂生産拠点
  • Sekisui Kasei U.S.A. Inc.(米国):北米市場の営業・技術サポート拠点
  • 中国(上海など):現地法人を通じた生産・販売網
  • マレーシア事務所:東南アジア地域の統括拠点

転職希望者が押さえるべきポイント

求められる人材像

  • 化学・材料・機械分野の知識

  • 樹脂加工や発泡製品、または機能性微粒子の開発経験

  • 海外案件に対応できる英語力

採用職種例

  • 発泡材・テクポリマーの研究開発

  • 製造技術・生産管理

  • 国内外営業

  • 品質保証・品質管理

面接では、応募先が「発泡樹脂系の量産事業」なのか「テクポリマーのような機能性材料事業」なのかで求められるスキルセットが異なります。また、地域子会社の再編が続いている点を踏まえ、応募先の法人名・勤務地が最新の体制に基づいているかを事前に確認することも重要です。


まとめ

積水化成品工業は、発泡スチロールに代表される生活・産業資材と、独自の機能性微粒子「テクポリマー」という二本柱を持つメーカーです。2025年3月期は増収ながら利益が大幅に落ち込みましたが、直近は価格是正やコスト削減により回復の兆しが見えています。2025年1月にはグループ会社の再編も行われており、事業構造・拠点体制は流動的です。転職を検討する際は、最新の決算・拠点情報を確認したうえで、自身の専門性がどちらの事業領域にフィットするかを見極めることをおすすめします。


参考:積水化成品工業 決算短信・IR資料室ログミーFinance「積水化成品工業、ヒューマンライフ分野好調で営業益・経常益の通期予想を上方修正」M&Aニュース「積水化成品工業、グループ会社の一部再編について発表」積水化成品工業 テクポリマー製品サイトOpenWork 積水化成品工業 社員クチコミ