塗料・コーティング産業は、自動車・建築・工業機械・船舶など幅広い分野を支える基盤産業です。日本の塗料メーカーはアジアを中心に海外展開も積極的に進めており、グローバルでも存在感を発揮しています。本記事では、各社の最新決算をもとに、日本の塗料メーカーTOP10の売上高ランキングをご紹介します。

塗料メーカーランキング(売上高順・各社最新決算)

順位 企業名 売上高 主力分野
1位 日本ペイントホールディングス 約18,200億円(2025年12月期見通し) 建築用塗料、自動車補修塗料、工業塗料
2位 関西ペイント 約5,888億円(2025年3月期) 自動車用塗料、建築塗料、防食塗料
3位 中国塗料 約1,394億円(2025年3月期) 船舶用塗料(世界トップクラス)
4位 エスケー化研 約1,061億円(2025年3月期) 建築用外装・内装塗料(住宅向け)
5位 DIC(インキ・コーティング部門) 参考値(全社売上高は約8,500億円) 印刷インキ、コーティング、カラーフィルター
6位 大日本塗料 約725億円(2025年3月期) 防食塗料、建築用塗料、鉄道車両塗料
7位 神東塗料 約300億円(概算) 工業塗料、自動車塗料
8位 ロック・ペイント 約250億円(概算) 自動車補修塗料、建築用塗料
9位 アトムペイント(アトムサポート) 約150億円(概算) DIY・家庭用塗料、木工用塗料
10位 ターナー色彩 約100億円(概算) アート・クラフト用塗料、建築内装

※売上高は各社の決算短信・公表資料をもとにした数値です。非上場企業や事業セグメントが分離開示されていない企業については、業界推計値・概算を用いています。DICは塗料・コーティングのみの分離集計が困難なため、全社売上高を参考値として掲載しています。

注目企業の詳細解説

1位:日本ペイントホールディングス 世界3位の塗料グループへ

2014年にシンガポールのウットラム・グループと資本提携後、2020年には約1兆2,900億円規模の第三者割当増資を経てウットラムが親会社となり、アジア各国の塗料メーカーを次々と傘下に収めてきました。2024年には米国の産業用塗料メーカーを約6,300億円で買収するなど、M&Aによる規模拡大が続いています。2024年時点の世界市場シェアランキングでは、日本ペイントHDは世界3位(1位・2位は欧米系大手、4位アクゾノーベル、5位RPM)にまで上り詰めており、建築用・自動車補修・工業と幅広いポートフォリオを持つグローバル企業へと変貌しています。

2位:関西ペイント 自動車塗料の雄、5期連続最高益

国内自動車メーカーとの長年の取引関係を基盤に、自動車OEM向け塗料では国内トップシェアを誇ります。2025年3月期は売上高5,888億円(前期比4.7%増)で5期連続の過去最高更新となりました。インドや南アフリカなどにも製造拠点を持ち、新興国市場での成長も目覚ましい企業です。

3位:中国塗料 船舶塗料の世界的リーダー

社名に「中国」とありますが、広島市に本社を置く純然たる日本企業です(明治時代に旧中国地方で創業)。船舶用防汚塗料で国内シェア6割、世界2位クラスのシェアを誇り、海運業界に欠かせないサプライヤーです。2025年3月期は売上高1,394億円(前期比6.3%増)と増収基調が続いています。

4位:エスケー化研 外装塗料のロングセラーブランド

住宅の外壁・屋根向け塗料で非常に高い知名度を誇る企業。プロの塗装業者から厚い支持を受けており、2025年3月期は売上高1,061億円(前期比5.2%増)と着実な成長を続けています。国内建築用塗料市場で独自の存在感を発揮しています。

塗料業界の再編・M&A動向

近年の塗料業界最大の動きは、やはり日本ペイントホールディングスの急拡大です。ウットラムグループとの資本提携を軸に、アジア・欧州・北米へと積極的にM&Aを展開し、わずか10年余りで国内地方塗料メーカーから世界3位の塗料グループへと変貌しました。一方、中堅・中小の塗料メーカーは、特定分野(船舶用・住宅用・DIY用など)への特化やニッチ市場での競争力強化によって独自のポジションを築いており、業界全体としては「グローバル化する上位グループ」と「専門特化する中堅企業」への二極化が進んでいます。

塗料業界の今後のトレンド

  • 水性化・低VOC化:環境規制の強化を背景に、揮発性有機化合物(VOC)を含む溶剤系塗料から水性塗料への転換が進んでいます。
  • 機能性コーティング:防汚・抗菌・遮熱・太陽光反射など多機能コーティングへの需要が高まっており、各社が新製品開発を加速しています。
  • 電動車(EV)対応:EVの普及に伴い、電磁波遮蔽・軽量化対応など新たな機能を持つ自動車用塗料の開発が活発化しています。
  • 海外M&Aによる再編:日本ペイントHDの事例に見られるように、国内市場の成熟を背景に、海外企業の買収による成長戦略を採る企業が増えています。

ランキングを見る際の注意点

売上高ランキングは企業の「規模」を示す指標ですが、利益率や特定分野でのシェアは別の指標です。例えば中国塗料は売上高こそ上位2社に及びませんが、船舶用塗料という専門分野では世界トップクラスのシェアを持ちます。またDICのように、塗料・コーティング事業が全社売上の一部にとどまる複合化学メーカーもあるため、「塗料メーカーとしての実力」を測る際は、売上高だけでなく事業セグメントの内訳や特定分野でのシェアもあわせて確認することをおすすめします。

まとめ

日本の塗料メーカーは、建築・自動車・船舶など各専門分野で高い技術力を発揮しています。特に日本ペイントホールディングスが世界3位の塗料グループへと急成長した点、そして中国塗料の船舶分野での世界的なプレゼンスは注目に値します。今後もグローバル化する上位グループと、ニッチ市場で強みを発揮する中堅企業の両方の動向から目が離せません。ChemiConnectでは塗料・コーティング業界の最新情報も継続的にお届けします。

参考:日本ペイントホールディングス IR情報関西ペイント IR情報中国塗料 IR情報エスケー化研 IR情報