UBE株式会社(旧・宇部興産)は、山口県宇部市発祥の総合化学メーカーです。かつては「化学・建設資材・機械」の3事業を柱としていましたが、2022年にセメント・建設資材事業を三菱マテリアルとの合弁会社「UBE三菱セメント」へ移管し、現在は「化学」「機械」の2事業体制に再編されています。この事業構造の変化は転職を考えるうえでも重要なポイントです。本記事では、最新の決算データと事業再編の経緯を踏まえ、UBEの実態と転職希望者が押さえるべき情報を解説します。


企業概要

  • 会社名:UBE株式会社(UBE Corporation)
  • 設立:1942年(起源は1897年の宇部炭鉱)
  • 本社所在地:山口県宇部市(登記上)/東京都港区(東京本社)
  • 従業員数:単体2,243人/連結7,882人(2024年3月末時点)
  • 売上収益:4,868億円(2025年3月期)
  • 当期純利益:▲43億円(2025年3月期、純損失)
  • 平均年収:約774万円(平均年齢43.1歳、平均勤続年数15.8年)
  • 海外拠点:スペイン、タイ、中国、米国など

売上規模は縮小して見えますが、これは事業が悪化したのではなく、2022年にセメント事業(当時売上高2,000億円超)が連結対象から外れたことが主因です。単純に過去の記事や情報と数字を比較すると規模を誤解しやすいため注意が必要です。


【重要】セメント事業分離の経緯と転職への影響

UBEは2020年に三菱マテリアルとセメント事業の統合を決定し、2022年4月に「UBE三菱セメント株式会社」(両社が50%ずつ出資)が発足しました。さらに2025年5月には、UBE三菱セメントが東京証券取引所への株式上場準備を開始すると発表されています(同社の2025年3月期売上高は5,610億円、純利益302億円でセメント業界2位の規模)。

つまり、「UBEでセメント関連の仕事がしたい」と考えている場合、応募先はUBE株式会社ではなく「UBE三菱セメント株式会社」になります。求人サイトでは両社が混同されて紹介されているケースもあるため、応募前に採用元の法人名を必ず確認しましょう。


主な事業分野と製品(現行2事業体制)

1. 化学事業(売上の中心)

  • ナイロン樹脂・カプロラクタム(自動車・電気電子向けエンジニアリングプラスチック)
  • 合成ゴム
  • リチウムイオン電池用電解液(EV需要拡大により成長投資が続く分野)
  • ポリイミド、医薬原体などのファインケミカル

2. 機械事業

  • 射出成形機
  • 製鉄・製紙用機械
  • 環境関連装置

セメント事業が抜けたことで、現在のUBEは化学事業への依存度が一段と高まった構造になっています。


業績と課題

2025年3月期は当期純利益が43億円の赤字となりました。要因としては、化学品市況の低迷や原燃料コストの上昇、中国市況の悪化などが挙げられます。事業再編(セメント切り離し)によるスリム化が進む一方で、化学事業単体での収益力向上が今後の課題です。転職を検討する際は、こうした足元の業績動向も踏まえたうえで、成長分野(電池材料・高機能樹脂)の配属可能性を面接で確認することをおすすめします。


働きやすさに関するデータ

転職先を評価するうえで年収以上に重要なのが実際の労働環境です。UBEの直近データは以下の通りです。

  • 離職率:1.5%(2024年度)
  • 有給休暇取得率:88.3%
  • 平均残業時間:月16.4時間

OpenWorkなどの社員口コミサイトでは「有給休暇は非常に取得しやすい」という声がある一方、「部署による労働環境の差が大きい」という指摘も見られます。配属部署によって働き方が大きく変わりうる点は、面接時に確認しておきたいポイントです。


UBEで働く魅力

  1. 化学と機械、異なる技術領域でのキャリア形成
  2. 海外拠点(スペイン・タイなど)でのキャリア機会
  3. EV電池材料など成長分野への投資が継続中
  4. 福利厚生:社宅制度、研修制度、持株会、在宅勤務制度

国内の主要拠点

UBEの国内拠点は、本社機能、化学品の生産工場、研究所に分かれています(セメント関連拠点はUBE三菱セメントに移管済みのため含みません)。

  • 東京本社:東京都港区芝浦1-2-1 シーバンスN館(グループ経営の中核)
  • 宇部本社:山口県宇部市大字小串1978番地の5(登記上の本店)
  • 宇部ケミカル工場(山口県):ナイロン原料、ポリイミド、電池材料、医薬原体などを製造する最大拠点
  • 堺工場(大阪府):ポリイミドや電池材料などの高機能化学製品を製造
  • 千葉工場(千葉県):合成ゴムの生産拠点
  • 吉富工場(福岡県):医薬原体・化成品を製造

研究開発拠点

  • 宇部研究所(山口県):化学事業のコア技術を担う中核拠点
  • みらい技術研究所(千葉県):将来成長分野の新技術開発
  • 大阪研究開発センター(大阪府):高分子材料・複合材料の研究開発
  • 医薬研究所(山口県):医薬品分野の研究開発

海外の主要拠点

  • UBE Corporation Europe, S.A.U.(スペイン):ナイロン原料・合成ゴムの欧州向け生産拠点
  • UBE Chemicals (Asia) Public Co., Ltd.(タイ):アジアにおけるナイロン原料の主要生産拠点
  • 台橡宇部(南通)化学工業有限公司(中国):合成ゴムの生産拠点
  • 米国:ニューヨーク・トロイ拠点で北米市場の営業・技術サポートを担当

転職希望者が押さえるべきポイント

求められる人材像

  • 化学・材料・機械分野の専門知識
  • 英語力(海外拠点や海外顧客対応)
  • 研究開発・生産技術・品質管理の実務経験

採用職種例

  • 高機能樹脂・電池材料の研究開発
  • 生産技術・プロセスエンジニア
  • 射出成形機の設計・開発
  • 海外営業・海外拠点マネジメント

面接では「なぜセメント事業ではなく化学・機械事業を志望するのか」を問われるケースが増えていると考えられます。事業再編の背景を理解したうえで志望動機を組み立てることが、他の応募者との差別化につながります。


まとめ

UBEは2022年のセメント事業分離を経て、化学と機械の2事業に集中する企業へと姿を変えました。2025年3月期は純損失を計上するなど足元の業績には課題がありますが、EV電池材料などの成長分野への投資は継続しています。転職を検討する際は、旧来の「3本柱」のイメージのままではなく、再編後の事業構造・業績・配属部署ごとの労働環境まで確認したうえで、非公開求人も含めて情報収集することをおすすめします。


参考:UBE株式会社 決算関連資料日本経済新聞「UBEの株価が高い UBE三菱セメントの上場準備発表」OpenWork UBE社員クチコミ