化学産業において研究開発(R&D)投資は将来の競争力を左右する重要な経営指標です。本記事では、日本の主要化学メーカーの研究開発費ランキングと、各社がどのような分野に投資しているかをご紹介します。

研究開発費ランキング(2023年度)

順位 企業名 研究開発費(億円) 売上高比率(目安) 重点テーマ
1位 三菱ケミカルグループ 約1,800 約4% バイオ材料、カーボンニュートラル素材
2位 住友化学 約1,500 約5% 農薬AI創薬、医薬品、IT材料
3位 旭化成 約1,300 約5% 水素関連材料、LiB部材、医療機器
4位 東レ 約1,100 約4% 炭素繊維、水処理膜、バイオマス原料
5位 信越化学工業 約900 約4% シリコン材料、EUVフォトレジスト
6位 三井化学 約600 約3.5% 軽量化材料、バイオマス化学品
7位 JSR 約550 約15%以上(半導体材料特化) フォトレジスト、半導体プロセス材料
8位 レゾナック・ホールディングス 約500 約4% 先端パッケージング材料、CMP材
9位 日東電工 約450 約5% 光学フィルム、医療用素材
10位 積水化学工業 約400 約4% 廃プラリサイクル、高機能フィルム

※各社の有価証券報告書をもとにした概算値です。

注目:売上高比率で見るR&D投資の姿勢

研究開発費の「絶対額」だけでなく、売上高に対する比率を見ると企業の姿勢がより鮮明になります。特に注目すべきはJSRです。売上高は上位企業に及ばないながら、売上高比率では15%超という非常に高い水準のR&D投資を維持しており、半導体フォトレジスト技術での世界的リーダーシップを支えています。

各社の重点R&D領域

カーボンニュートラル・サステナビリティ関連

三菱ケミカルグループ・東レ・積水化学工業などは、廃プラスチックのケミカルリサイクル、バイオマス原料を使った化学品、CO₂を原料とした化学品(CCU)などに積極的な研究開発投資を行っています。2050年のカーボンニュートラル達成に向けた重要なテーマです。

半導体・電子材料

信越化学工業・JSR・レゾナックは、EUVリソグラフィ対応フォトレジスト、先端パッケージング材料、次世代CMP(化学機械研磨)スラリーなどへの集中投資を行っています。AI・データセンター需要の拡大を背景に、この分野への投資は今後さらに拡大が見込まれます。

ライフサイエンス・医療

住友化学・旭化成は、医薬品原薬・中間体や医療機器材料への研究開発を強化。住友化学はAIを活用した農薬・医薬品の創薬研究にも注力しています。

まとめ

日本の化学企業はグローバル競争が激化する中、半導体材料・環境対応素材・ライフサイエンスを中心にR&D投資を増強しています。研究開発費の動向は、各社の将来戦略を読み解く重要なヒントになります。ChemiConnectでは、化学業界のR&D動向を継続的に追跡してお届けします。