JSR株式会社は、もともと合成ゴムメーカーとして1957年に設立されましたが、現在では半導体材料・ディスプレイ材料・ライフサイエンス分野を中心に、世界的な競争力を持つ先端素材メーカーへと進化しています。
特にフォトレジストやCMPスラリーなどの半導体製造用材料は世界トップクラスのシェアを誇り、近年はバイオ医薬品の開発・製造支援事業にも注力しています。
この記事では、JSRの企業概要、事業構成、強み、将来性、そして転職希望者向けの情報をわかりやすく解説します。
企業概要
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会社名:JSR株式会社(JSR Corporation)
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設立:1957年(日本合成ゴム株式会社として設立)
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本社所在地:東京都港区
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従業員数(連結):約9,000人
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売上高(直近期):約4,600億円
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平均年収:約890万円
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海外拠点:米国、ベルギー、ドイツ、中国、台湾、シンガポールなど
国内の主要拠点
JSRの国内拠点は、本社機能、大規模な生産工場、そして研究開発拠点に分かれています。各拠点が連携し、多様な製品と技術を生み出しています。
- 本社(東京): グループ全体の経営戦略や管理機能の中心です。
- 所在地: 東京都港区東新橋1-9-2
- 鹿島工場(茨城県): 合成樹脂、機能性材料などを製造する主力工場です。
- 所在地: 茨城県神栖市東和田22
- 千葉工場(千葉県): 合成樹脂や合成ゴムの生産を担う基幹拠点です。
- 所在地: 千葉県市原市五井南海岸5
- 四日市工場(三重県): JSR創業の地であり、合成ゴム、合成ラテックス、機能性材料などの製造を行っています。
- 所在地: 三重県四日市市川尻町100
- 筑波研究所(茨城県): デジタルソリューションやライフサイエンスなど、次世代技術の研究開発を担う中核拠点です。
- 所在地: 茨城県つくば市和台42番地
- 平塚研究所(神奈川県): 高機能材料や光学材料の研究開発を行っています。
- 所在地: 神奈川県平塚市四之宮2-2-1
海外の主要拠点
JSRは、グローバル企業としてアジア、北米、欧州に拠点を広げ、国際的な市場での存在感を高めています。
- 米国:
- JSR Micro, Inc.: 米国における半導体材料事業の中心であり、シリコンバレーに拠点を構えています。
- ベルギー:
- JSR Micro NV: ベルギーのルーヴェンに拠点を持ち、欧州の半導体産業に製品を供給しています。
- 中国:
- JSR(上海)有限公司: 中国市場での事業展開を管理し、様々な製品の販売と技術サポートを行っています。
- 韓国:
- JSR Micro Korea Co., Ltd.: 韓国における半導体材料事業の拠点です。
主な事業分野と製品
1. デジタルソリューション事業(半導体材料)
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フォトレジスト(ArF、EUV対応)
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CMPスラリー
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多層材料
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ハードマスク材料
2. ディスプレイソリューション事業
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液晶ディスプレイ(LCD)材料
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有機EL(OLED)材料
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カラーフィルター関連材料
3. ライフサイエンス事業
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バイオ医薬品開発・製造支援(CMO/CDMO)
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バイオプロセス材料(精製用樹脂など)
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分析サービス
4. エラストマー事業(縮小中)
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合成ゴム(SBR、BR)
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タイヤ用材料
JSRの強み
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半導体材料で世界トップシェア
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高度な微細化対応技術(EUVフォトレジストなど)
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事業ポートフォリオの転換
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従来の合成ゴム主体から半導体・ライフサイエンスへ移行
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ライフサイエンス分野の成長
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バイオ医薬品市場の拡大を背景に安定成長が見込める
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グローバル展開
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海外売上比率約70%、各国に研究開発拠点
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業績と将来性
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成長分野
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EUV対応半導体材料
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バイオ医薬品製造支援事業
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有機ELディスプレイ材料
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安定性
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半導体市場の拡大とともに需要増
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課題
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半導体市況の変動リスク
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技術革新スピードへの対応
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JSRで働く魅力
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先端技術に携われる
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半導体・バイオ医薬など成長市場の最前線で活躍可能
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グローバル環境
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海外拠点や顧客とのやり取りが多い
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研究開発力の高さ
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売上の約8〜10%をR&Dに投資
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福利厚生の充実
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社宅、住宅手当、育児支援、在宅勤務制度
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転職希望者が押さえるべきポイント
求められる人材像
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化学、材料、バイオ、機械、電気分野の知識
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半導体材料やバイオ医薬品関連の開発・製造経験
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高い英語力(海外拠点や顧客とのコミュニケーション)
採用職種例
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半導体材料の研究開発
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バイオ医薬品製造プロジェクトマネージャー
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生産技術・品質保証
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海外営業・マーケティング
転職活動のポイント
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事業の変革期を理解:エラストマー縮小と成長事業への集中を踏まえた志望動機
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成果の数値化:技術開発成果、コスト削減率、プロセス改善効果など
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非公開求人の活用:研究開発職や海外案件はエージェント経由が有利
まとめ
JSRは、半導体材料とライフサイエンスを成長エンジンとし、従来の合成ゴム主体から先端素材メーカーへと変貌を遂げた企業です。
世界トップクラスの半導体材料技術と、バイオ医薬品製造支援分野での成長ポテンシャルを兼ね備えており、今後も拡大が見込まれます。
転職を検討する際は、自身の専門性を成長分野とリンクさせ、非公開求人を活用してキャリアアップを狙うことが有効です。