日本の化学メーカー売上高ランキングTOP10【2026年最新版】
日本の化学産業は、素材・エネルギー・農業・医療など幅広い分野を支える基幹産業です。2024年度(2025年3月期)決算では、大手化学メーカーの多くが増収増益を達成する一方、企業ごとの明暗や順位の入れ替わりも目立ちました。本記事では、各社の最新決算短信をもとに、日本の主要化学メーカーの売上高ランキングTOP10をご紹介します。
売上高ランキング一覧(2024年度・2025年3月期決算)
| 順位 | 企業名 | 売上高(億円) | 主な事業領域 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 三菱ケミカルグループ | 約44,074 | 機能化学品、ヘルスケア、炭素材料 |
| 2位 | 旭化成 | 約30,373 | マテリアル、住宅、ヘルスケア |
| 3位 | 住友化学 | 約26,063 | 石油化学、農業化学、医薬品 |
| 4位 | 東レ | 約25,633 | 繊維、炭素繊維、フィルム・電子材料 |
| 5位 | 信越化学工業 | 約25,612 | 塩化ビニル、シリコン、半導体材料 |
| 6位 | 三井化学 | 約18,092 | モビリティ、ライフ&ヘルスケア、基盤素材 |
| 7位 | レゾナック・ホールディングス | 約13,471 | 半導体・電子材料、機能性化学品 |
| 8位 | 積水化学工業 | 約12,977 | 住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス |
| 9位 | 東ソー | 約10,634 | 石油化学、クロル・アルカリ、機能商品 |
| 10位 | クラレ | 約8,269 | ビニルアセテート、イソプレン、繊維・テキスタイル |
※売上高は各社の決算短信をもとにした数値です(クラレのみ2024年12月期決算)。為替レートや事業再編、連結範囲の変更により今後変動する場合があります。
業界動向:旭化成が住友化学を逆転し2位に浮上
今回のランキング更新で最も大きな変化は、旭化成が住友化学を逆転して2位に浮上したことです。旭化成は2025年3月期の売上高が前期比9.1%増の3兆373億円と大幅増収となり、住宅事業(ヘーベルハウス)が過去最高業績を更新したことが牽引役となりました。一方、住友化学は農薬・石油化学事業の市況低迷から脱し黒字転換を果たしたものの、増収率では旭化成に及ばず、順位を1つ落とす形となりました。また、東レが僅差で信越化学工業を上回り4位となった点も注目です。東レは2025年3月期に繊維事業が初めて売上高1兆円を超えるなど、主力の繊維・複合材料事業が全体を押し上げました。売上高上位の顔ぶれは大きく変わらないものの、事業ポートフォリオの違いによって各社の明暗がはっきり分かれる決算となっています。
各企業の特徴と強み
1位:三菱ケミカルグループ
三菱ケミカルなどを傘下に持つ日本最大の総合化学グループです。機能化学品からヘルスケアまで幅広いポートフォリオを展開し、グローバルに事業を拡大しています。2025年3月期はコア営業利益が前期比43%増の2,984億円となり、収益性も改善が進んでいます。近年は事業再編を進めつつ、「KAITEKI」をコンセプトにサステナビリティ経営を強化しています。
2位:旭化成
繊維・化学からスタートし、現在は住宅(ヘーベルハウス)やヘルスケア(人工透析膜など)まで事業領域を大きく広げたコングロマリットです。リチウムイオン電池のセパレーターでも世界トップシェアを誇ります。2025年3月期は住宅事業の好調により過去最高益を更新し、売上高でも住友化学を上回る結果となりました。
3位:住友化学
石油化学を基盤としつつ、農業化学(農薬・肥料)や医薬品、IT関連化学品など多角的な事業を展開。サウジアラビアとの合弁事業「ペトロ・ラービグ」でも大規模なコンビナートを運営しています。2025年3月期は前期の赤字から黒字転換を果たし、経営再建が進んでいます。
4位:東レ
炭素繊維複合材料で世界トップシェアを誇り、航空機・自動車向けに幅広く供給。また、水処理膜(逆浸透膜)でも世界有数のメーカーです。2025年3月期は繊維事業が初めて売上高1兆円を突破するなど、主力事業の伸びが業績を牽引しました。
5位:信越化学工業
塩化ビニル樹脂とシリコーンで世界トップクラスのシェアを持ち、半導体シリコンウェーハでも世界最大手。売上高では東レにわずかに及ばないものの、営業利益率の高さでは業界随一であり、時価総額では日本の化学企業で圧倒的な首位を誇る優良企業です。
6位:三井化学
自動車部品向け樹脂(アドマー、ミラストマーなど)やレンズ素材(MR™)に強みを持ちます。モビリティおよびヘルスケア分野への集中投資でポートフォリオ変革を進めています。
7位:レゾナック・ホールディングス
昭和電工と日立化成が2023年に統合して誕生した半導体・電子材料の専門企業。CMP(化学機械研磨)スラリーや先端パッケージング材料を強みとし、生成AI向け半導体需要の急拡大を受けて株価・企業評価が急上昇しています。
8位:積水化学工業
住宅事業で有名な一方、化学品では自動車用中間膜(S-LEC™)や高機能フィルムで世界トップシェアを持ちます。廃プラスチックのケミカルリサイクル技術でも注目されています。
9位:東ソー
塩素・苛性ソーダを基盤としたクロル・アルカリ化学の大手。高機能材料(バイオサイエンス試薬、ジルコニアなど)でも独自の地位を確立しています。
10位:クラレ
ポバール(PVA)フィルムやエバールでグローバルトップシェアを誇ります。光学フィルムや医療用フィルターなど高付加価値製品にも強みがあります。決算期が12月期のため、他社とは半年ずれた業績サイクルになっている点に留意が必要です。
売上高ランキングを見る際の注意点
売上高ランキングは企業の「事業規模」を示す一方で、収益性や市場評価とは必ずしも一致しません。例えば信越化学工業は売上高では5位ですが、営業利益率の高さから時価総額では業界断トツの首位です。逆に、売上高で最大の三菱ケミカルグループは、事業の多角性ゆえに時価総額では中位にとどまります。売上高だけでなく、営業利益率や研究開発費、時価総額など複数の指標を組み合わせて企業を評価することが重要です。
まとめ
日本の化学メーカーは、規模だけでなく、世界トップシェアを持つニッチな製品を多数抱えているのが特徴です。2024年度決算では旭化成が住友化学を逆転して2位に浮上するなど、事業ポートフォリオの違いが順位に色濃く反映される結果となりました。素材・エネルギー転換が加速する中、各社がどのようにポートフォリオを変革していくか、今後も目が離せません。
参考:三菱ケミカルグループ IR情報/旭化成 IR情報/住友化学 IR情報/東レ IR情報/信越化学工業 IR情報